教室ブログ

磯村敏之遺作展が開かれています

投稿日時:2009/10/07(水) 10:38

 恩師の磯村敏之先生の遺作展が開かれています。
 http://ginza-arthall.com/exhibition/09/091005/index.html


 これはただならぬ成功だと思います。最近の個人の展覧会で,ここまで充実した展覧会はあまりないような気がします。
 アトリエにおよそ600枚の絵が残されていて,そのなかから,えりすぐりの作品を展示しています。
 すでに「美術の窓」10月号で4ページにわたって紹介され,期待が高かったものです。
 ぜひ,お出かけになってご覧ください。

 5日のオープニングパーティも,人があふれていました。たくさんの画家や美術愛好者に大いなる影響を与えてきました。
 山崎先生も一緒にスケッチ旅行にたびたびお出かけでした。

 残念ながら,2年前の11月2日に80歳で突然お亡くなりになりました。最後まで現役でした。8月末にお元気な字でおはがきをいただいていました。

「桜咲く武甲山」は最後の完成作品で,120号の大作です。今までにない,明るい色調の武甲山でした。あまりに印象深くて,この絵のお話でもしたいとおもっていました。いつも主体展の会場でお会いしていたのですけれども,その年はどうしてかいらっしゃらなくて,しばらくして訃報を聞きました。

 何枚も武甲山の絵をお描きになっています。そのなかでも,もしかしたら最高傑作かもしれないのが,「武甲山(巴川)」(1999年 F60・横)です。
 この作品をアトリエの棚の奥から出したとき,磯村夫人とともに,あっと息を呑む思いでした。これは最高傑作かもしれないと語りました。

「トーディの横町」(2004年 P30・縦)も傑作です。ただ壁が描かれているだけのようですが,その建物の壁が,実在感をもって,静かに存在しています。ただの平板な壁ではなくて,たしかにそこにそびえています。手塚國彦先生が,これは神業だとおっしゃっていました。特殊なブラシにオイルたっぷりの絵の具をつけて,はねらかして模様にしていたようです。この壁のある向こう側とこちら側の二つの世界が,奥行きを与えています。

 そして,「サルーテ教会と大運河」(1999年 P60・横)の暗いおもい空の色に圧倒されます。これも代表作と言っていい作品です。重ね塗りした青が深い色を出しています。
 ジョイスの「室内楽」の一節のようです。
 ≪黄昏の色は変わる 紫水晶(アメシスト)から,もっと深い青に≫

 おそるべし磯村先生。まだまだ傑作が展示されています。
 今回の作品先生には,山崎先生も関わっています。一番かわいがられた画家の一人です。

 磯村敏之遺作展
  場所:銀座アートホール  銀座8丁目110番地高速道路ビル(銀座コリドー街)
  期間:2009年10月11日(日)(11:00~18:30 最終日16:00終了)

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