ブログ 2009/3/17

再訪「視線11」[教室ブログ]

投稿日時:2009/03/17(火) 14:28

 銀座アートホールの展覧会「視線11」にまた行ってきました。
 今回は,山﨑弘先生の3枚の絵を見ることが目的でした。
 3つの作品は,「ポプラの道」20号F・縦,「十勝岳-初夏」4号F・横,「青麦の頃」20号P・横 です。

「青麦の頃」は,手前の薄緑の青麦の畑の上に,鮮やかなオレンジ色の土の畑,その先から丘陵となり,その上に少し暗い雲と青い空が広がる風景です。
 丘陵には,左から林が走り,右側から細い道が上っていき,その交わる先の稜線に雲が接近しています。絵を見る我々の視点が,自然にその稜線と雲のところに収斂していくように感じました。

 相変わらず,離れてもくっきりと見える絵です。
 前回「視線11」を訪れてから,周りの風景を注意して見るようになりました。世の中は,色彩の対比が明確なところと,そうでないところが混在しています。ぼんやりと見えるものもありますが,しかし,多くのものは,くっきり色彩が浮き上がっています。自然そのものがそうなっているのですね。

 先生の絵がくっきり見えるのは,色の鮮やかさのためだと思いました。
 色の鮮やかさは,混色の少なさによっているようです。何色も混ぜると,鮮やかさがなくなってきます。チューブの色そのものはかなり鮮やかですが,生の色でない場合は,最小限に的確に混ぜる必要がありそうです。
 どこに,どんな色をのせたらいいのか,その色をどう作ればいいのか,先生はちゃんと知っているようでした。しかし,これは遠い道のりだと感じました。

 今回の3点は,すべて北海道の風景ですが,その共通テーマとは別に,画面構成の共通性もあるように思いました。

 薄緑の畑の領域は,傾いた境界線でその上の畑と接していますが,オレンジの畑の上辺は水平になっています。そこが,画面を二分していて,上の領域に比べて,下の領域がやや大きい構成です。
「十勝岳-初夏」も「ポプラの道」もほぼ同じような比率で画面が上下に分割されています。
 今回の3作品は,画面を上下に分割して構成するバリエーションのようでもありました。

「ポプラの道」は,霧の白い帯の下限が画面を分けています。
 画面の下からグレーの道がうねりながら下って行き,その右脇の,木々の向こう側に隠れた家に,我々の視点が回っていきます。そこからは,なだらかな裾野が上りの傾斜になり,その先に霧の帯,その上の山は,湿気を含んだ空気につつまれてぼんやりと見えています。

 もうしばらく見ていたかったのですが,次の予定がありました。秘密は,まだ解明できていません。

 3月13日の教室では,椿がモチーフでした。4号に大きく花を描いたものの,赤い花弁がくすんで,本物を前に立ちつくしました。山﨑先生は,花弁を一枚一枚独立して描きすぎていること,そして,混色を指摘されました。
 ペインティングオイルを適度に混ぜたバーミリオンを上にのせると,一気に花弁が浮き上がってきました。
 混色を防ぐには,パレットに同系色の色ごとに,整然と絵の具を並べること,筆をたくさん用意して使いまわさないこと,筆を柔軟ないい状態に保持するように,石鹸で何度も泡立つまできれいに洗浄すること,との指導がありました。
 基本的なことばかりです。あっと思いました。
 あくまでも先生は,基本に忠実だということですね。

 遠くからでも,くっきりと浮かび上がる絵を見て,その秘密を探ろうとして,何か特別な方法があるのかと思いましたが,まずはマイナス面を排除することから始めないといけないようです。
 それには,基本を忠実に守ることからはじめる必要があると痛感しました。

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