渋谷油絵教室は、初心者にも美大レベルの指導が受けられたら という希望を持った渋谷区の初心者達が作った絵画教室です。 日曜の午後、一人ひとりに合わせた個人的指導が受けられる絵画教室です。 |
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教室ブログ
フォルム
投稿日時:2009/04/13(月) 11:16
桜がきれいで,先週,ときどき,歩きながら見とれていました。渋谷地方は,もう散り始めています。早いですね。
教室では牡丹の絵を描きました。山﨑先生のご母堂の丹精をこめたお花がぱっと咲いたところ,それを提供してくださったのですね。大輪のみずみずしい花の美しさに,圧倒されました。
この美しさをどう表現したらいいのでしょう。皆さん苦労していましたが,今回は,残念ながら,実物を前に,自分の絵のことなど何も語るべきでないという気持ちになって,沈黙するのみ,という感じでしたね。
この花をご覧になったら,わかっていただけるのではないでしょうか。
この美しさをどう表現したらいいのか,思いも及ばなくなって,何度もため息をつくのですね。そして,自分の絵がへんなのには気づいているのです。
たまたま本を読んでいたら,フォルムのことが書かれた文章に出会いました。吉田秀和が書いているのですが,セザンヌでもピカソ,マチスでも,その絵画が作られつつあったとき,芸術でない,でたらめだと非難された。「だが,抽象派,立体派,名は何であれ,この人たちの芸術は,フォルムがないどころか,むしろ,フォルムにこそ,非常な重点が置かれていたのである。」(『時の流れのなかで』中公文庫・347ページ)
そうだ,どう描くべきなのか,先人の達成した成果に学ばないといけないなあ,フォルムを身につけないと,どうにもならないのだなあ,そんなことを考えていたら,どうも最近,自分は心に栄養を与えていなかったのではないかという気持ちになってきました。
大急ぎで,美術館情報を調べて,ブリヂストン美術館の≪名画と出会う-印象派から抽象絵画まで≫に行ってきました。
最初はコローの絵がありました。美しい緑です。チューブから出した緑でなくて,深い色,そして,光を受けて鮮やかに浮かび上がっているところが何ともきれいです。それからシスレーの絵もありました。遠くの緑と,近くの木々の緑がちゃんと塗り分けられているのですね。モネもありました。潔いというべきか,スピード感のある筆遣いで,一気に線を描いています。そこにつけた色の適切さを見ると,何色を塗るべきか,ほとんどわかっていて,パレット上で色ができているような気がしました。マネの絵は,無造作のように描かれているところがありながら,ポイントが押さえられています。自画像のバックの色の塗り方など,徐々に変転している色調の不思議で効果的なこと。セザンヌもありました。サン・ヴィクトワール山ですね。山も木々も空も皆同じ要素からできていると言いたげに,わずかな色調とタッチの変化だけで,境界線が暗示されるだけで,ちゃんと山と木と空が描き分けられています。そして,ルドンのデッサン力のすばらしさ。まだまだたくさんいい絵がありました。
2年前のことですが,野見山暁治さんのお話を聞いたことがあります。パリに行って,1年目は絵を描かずに,絵を見ることばかりしていたとのこと。そうしたら,日本から持っていった絵の具の色では感覚にあわなくなって,すべて買いなおしたという話でした。
どうやってこういう絵が描かれたのか,そんな気持ちをどこかに持ちながら,好みの絵に出会いたいものですね。少し心に余裕を持って,展覧会に出かけましょうか。
いい絵というのは,ため息が出るほど,すごいものですね。無造作のように,一気に描かれた線と色に,そして色の変化に圧倒されました。この道は遠く遠くはてしない道なのでしょうか。悩みのあとには楽しみが来るのでしょうか。
さまざまのこと思い出しながら,帰り道,残り少なくなった桜を惜しんでいました。
教室では牡丹の絵を描きました。山﨑先生のご母堂の丹精をこめたお花がぱっと咲いたところ,それを提供してくださったのですね。大輪のみずみずしい花の美しさに,圧倒されました。
この美しさをどう表現したらいいのでしょう。皆さん苦労していましたが,今回は,残念ながら,実物を前に,自分の絵のことなど何も語るべきでないという気持ちになって,沈黙するのみ,という感じでしたね。
この花をご覧になったら,わかっていただけるのではないでしょうか。
この美しさをどう表現したらいいのか,思いも及ばなくなって,何度もため息をつくのですね。そして,自分の絵がへんなのには気づいているのです。
たまたま本を読んでいたら,フォルムのことが書かれた文章に出会いました。吉田秀和が書いているのですが,セザンヌでもピカソ,マチスでも,その絵画が作られつつあったとき,芸術でない,でたらめだと非難された。「だが,抽象派,立体派,名は何であれ,この人たちの芸術は,フォルムがないどころか,むしろ,フォルムにこそ,非常な重点が置かれていたのである。」(『時の流れのなかで』中公文庫・347ページ)
そうだ,どう描くべきなのか,先人の達成した成果に学ばないといけないなあ,フォルムを身につけないと,どうにもならないのだなあ,そんなことを考えていたら,どうも最近,自分は心に栄養を与えていなかったのではないかという気持ちになってきました。
大急ぎで,美術館情報を調べて,ブリヂストン美術館の≪名画と出会う-印象派から抽象絵画まで≫に行ってきました。
最初はコローの絵がありました。美しい緑です。チューブから出した緑でなくて,深い色,そして,光を受けて鮮やかに浮かび上がっているところが何ともきれいです。それからシスレーの絵もありました。遠くの緑と,近くの木々の緑がちゃんと塗り分けられているのですね。モネもありました。潔いというべきか,スピード感のある筆遣いで,一気に線を描いています。そこにつけた色の適切さを見ると,何色を塗るべきか,ほとんどわかっていて,パレット上で色ができているような気がしました。マネの絵は,無造作のように描かれているところがありながら,ポイントが押さえられています。自画像のバックの色の塗り方など,徐々に変転している色調の不思議で効果的なこと。セザンヌもありました。サン・ヴィクトワール山ですね。山も木々も空も皆同じ要素からできていると言いたげに,わずかな色調とタッチの変化だけで,境界線が暗示されるだけで,ちゃんと山と木と空が描き分けられています。そして,ルドンのデッサン力のすばらしさ。まだまだたくさんいい絵がありました。
2年前のことですが,野見山暁治さんのお話を聞いたことがあります。パリに行って,1年目は絵を描かずに,絵を見ることばかりしていたとのこと。そうしたら,日本から持っていった絵の具の色では感覚にあわなくなって,すべて買いなおしたという話でした。
どうやってこういう絵が描かれたのか,そんな気持ちをどこかに持ちながら,好みの絵に出会いたいものですね。少し心に余裕を持って,展覧会に出かけましょうか。
いい絵というのは,ため息が出るほど,すごいものですね。無造作のように,一気に描かれた線と色に,そして色の変化に圧倒されました。この道は遠く遠くはてしない道なのでしょうか。悩みのあとには楽しみが来るのでしょうか。
さまざまのこと思い出しながら,帰り道,残り少なくなった桜を惜しんでいました。
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